Production
帝京大学長島研究室ゼミの部屋
長島研究室では、民事訴訟法を中心にしつつも、日常にある身近な法について、各自の問題意識のもとで課題を見つけて研究しています。また、民事訴訟の模擬裁判を行い、法的な問題とその背景にある事実の問題を浮かび上がらせる作業をします。
<趣味と法>
それぞれが趣味を持っていると思います。趣味がないとしても、これまでいろいろな体験をする中で、「これは法的にどうなんだろう?」と不思議に思うこともあると思います。長島研究室では、2017年度からゼミ所属のメンバーに「趣味と法」をテーマに報告をしてもらっています。ここでは、学生の選んだテーマについて紹介します。(長島のコメントつき)
「プロ野球のストライキ」
2004年のプロ野球のストライキは、労働法においても重要な論点を出しているといえます。プロ野球ファンの見方と法学部生の見方は違いますね。
「『弾いてみた』動画の法的問題」
「音楽の違法ダウンロード」
ネットでは「弾いてみた」とか「歌ってみた」というジャンルがありますが、これは著作権法上どうなのでしょうか。違法ダウンロードの問題もそうですが、「これはやっていい」「これはダメ」という一義的な判断は難しい場面があり、どのような基準が必要なのかを考える必要がありますね。
「ご注文はうさぎですか?の法的考察」
長島もごちうさをよく授業で使いますが(!)、今回は、シャロちゃんはカフェインを摂取すると酔っぱらいますが、この状態で車に乗ることはできるのかという興味深い事例です。
「ネットにおける肖像権」
ネットでよく出てくる「顔」(ここでは危険すぎて言えません(笑))がいくつかありますが、勝手に使ってもよいのかという話です。
「グラブルの『アンチラ』課金問題」
「チートやグリッジの問題」
長島ゼミの人たち、課金するゲーマーの方々もいますね。「爆死した(涙)」なんて会話をよく聞きますが、課金は法的に規制できないのか、過去に問題となって事例をもとに検討しました。
「AKB49恋愛禁止条例の法的考察」
「AKB49恋愛禁止条例」は主人公が女装して、アイドルグループに加入する話です。男装や女装も一つの文化になりつつありますが、男性が女子大学への入学を希望した事例もあり、タイムリーな話題です。
「痛車の法的問題」
長島ゼミ、なんと痛車づくりの名人もいました。でも、痛車って法的に大丈夫なのか。目立つ存在ゆえの法的な問題を紹介してくれました。
「PSYCHO-PASSの法的考察」
犯罪予測も可能になりつつある今日、特に刑事事件でこの作品は色々な法的な課題を考えさせられるものになっています。「PSYCHO-PASS」でしゃべれと言われたら、何時間でも話せそうですね。
「殺戮の天使の法的考察」
意外な作品を持ち込んでくれました。主人公が治療した小鳥が殺されるシーンから、動物の保護について検討をしました。
「チケット転売」
「転売と法」
声優ファンもたくさんいる長島ゼミ。一説では、大学よりもコンサート会場の方が集合率が高いとか…。チケット転売は許せません。法規制はどうなっているのかを検討しました。
「ディズニーランドと著作権」
著作権といえばディズニー、ディズニーといえば著作権ですが、ディズニー好きは著作権をどう考えているのでしょうか。過去に小学校で書かれたミッキーの絵を消せと言われた事件をどう評価するのか、検討しました。
「アカウント売買」
オンラインゲームでアカウントを売ってくれと言われたゼミ生。「これってどうなのよ?」と問題提起してくれました。
「NARUTOの落書き」
NARUTOで歴代の里長の岩に落書きをした場面がありました。落書きはどのような問題があるのかを検討してくれました。
「テーマパークの迷惑行為」
過去にテーマパークで迷惑行為をした学生が炎上していましたが、こうした行為でどのような法的な問題が発生するのかを報告してくれました。
<福島合宿(原告団の話と現地視察)・弁護団との意見交換会>
「民事訴訟はわがままなやつが訴訟をやっているんだ!」「裁判なんてどうせお金目当てでしょ?」…こんなイメージを持っている方もいらっしゃるでしょう。学生は実際の裁判のイメージがわかないのです。
そこで、実際の裁判の当事者の話を聞こうと、2015年に福島地裁郡山支部で提訴されている「ふるさとを返せ津島原発訴訟」の原告団・弁護団の協力のもと、2017年から9月に現地視察、それを踏まえて2月に弁護団との意見交換会を行っています。
※詳細は、長島光一「現在進行形の民事訴訟を題材とする法教育―『ふるさとを返せ津島訴訟』の当事者から学ぶ」法と教育9号17-28頁、「民事手続を題材とする法教育―『ふるさとを返せ津島訴訟』との交流から」帝京法学33巻1号1-103頁参照。
<模擬裁判>
◎昔話法廷―民事訴訟バージョン
NHKのEテレで不定期オンエアの「昔話法廷」ですが、これを民事訴訟でやったらどうなんだろういう視点から、昔話を裁判にアレンジして検討をしています。事例の選択や裁判をするための設定も学生中心に考えます。2018年には、「桃太郎」(鬼が財産を奪った桃太郎から取り戻せるか?)や「かぐや姫」(おじいさんおばあさんがかぐや姫を返してもらえるか?)、2019年には、「シンデレラ」(シンデレラは継母に損害賠償請求できるか?)や「かぐや姫」(貴族はかぐや姫と結婚の約束をしたことになるのか?)で模擬裁判を行いました。
◎最近のテーマから
民事訴訟も多種多様。その中でも、AIや情報について関心を持つ学生が多いことから、2018年には自動運転の問題で、2019年にはネットの動画拡散の問題、就活でのAIによる選抜の問題で模擬裁判を行いました。裁判を行う中で、法的な問題だけでなく、事実の重要性、立証に当たって必要な証拠の収集なども学ぶことができるとともに、相手方の主張に対しての対応力も身に着けることができているようです。